部活動の地域展開「KOBE◆KATSU(コベカツ)」を支える教育基盤。多様な指導者の質を担保するeラーニング活用術
神戸市教育委員会
神戸市では、2026年度に公立中学校部活動を終了し、地域のスポーツ・文化活動等の新しい受け皿となる「神戸の地域クラブ活動」=「KOBE◆KATSU(コベカツ)」の開始に向けて取り組みを進めています。本プロジェクトは、中学生が校区を越えて放課後や休日に「やりたいこと」を主体的に選択して参加できる画期的な仕組みです。 2026年の本格移行時には1,000団体規模の展開を見据えていますが、現在は実証事業として先行する18団体で運用をスタートしています。この過渡期において、多様な指導者へ安全管理や教育方針を徹底させるための基盤として、ロゴスウェア株式会社のeラーニングシステム「LOGOSWARE Xe」をご採用いただきました。
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- 会社名
- 神戸市教育委員会
- 業種
- 公共・団体
- 用途
- 指導者教育
- 課題
- 教育機会の均等化
- 利用プラン
- 月額定額制
- 関連製品
- STORM
神戸市教育委員会事務局 児童生徒課 コベカツ推進担当の魚山様、中村様、丸橋様に伺いました。
はじめに:部活動地域展開とは?
文部科学省およびスポーツ庁・文化庁が進める「部活動の地域展開」とは、少子化で学校単位の活動維持が困難になる中、生徒のスポーツ・文化芸術活動を学校部活動から地域クラブ活動に展開する取り組みです。
神戸市では、平日・休日ともに地域の幅広い方々の協力を得ながら、校区に関係なく、子供たち自身がやりたい活動を選んで参加できる機会を将来に渡って確保していくため、2026年9月のコベカツ開始に向けた取り組みを進めています。
国は2025年度末までを「改革推進期間」、2026年度から「改革実行期間」と定め、全国の自治体で段階的な導入を加速させています。本取り組みは、単なる運営主体の変更にとどまらず、地域全体で子供たちの成長を支える持続可能な社会基盤づくりを目指すものです。
参考サイト:部活動改革ポータルサイト (スポーツ庁)
少子化とニーズの変化、そして「持続可能な部活動」への限界
「KOBE◆KATSU(コベカツ)」が目指す姿について詳しく教えてください。
単に運営の主体を学校から地域へ展開するだけではありません。少子化によって自校に希望の部活がない生徒でも、地域にある多様な選択肢の中から自分の「やりたいこと」を自由に選び、専門的な指導のもとで継続できる環境を整えることを目的にしています。
現在は、2026年の本格移行を見据えた「実証事業」として、先行する18団体で運用をスタートしたところです。
KOBE◆KATSU(コベカツ)とは?

https://www.city.kobe.lg.jp/a33992/bukatus/chiikiikou.html#kobekatsutohaより引用
スケジュール
https://www.city.kobe.lg.jp/a33992/bukatus/chiikiikou.html#kobekatsutoha より引用
部活動の地域展開を進めることになった背景や、当時の課題を教えてください。
背景にあるのは、避けて通れない急激な少子化の波です。神戸市では今後10年間で中学生が約1万人減少すると予測されており、今の仕組みを放置すれば部活動そのものが消滅しかねないという強い危機感がありました。国の方針を尊重しつつ、生徒の学校生活への適応や大会サイクルを考慮し、本市では「2026年9月」を完全移行の開始時期に設定し、取り組みを進めています。
こうした背景の中、大きく3つの課題に直面していました。
1つ目は、少子化による部活動の先細りです。例えばサッカー部が市内の半分程度の学校にしかないなど、学校単位での活動維持が困難になり、生徒の選択肢が狭まっていました。
2つ目は、教員の負担と仕組みの限界です。教員の約半数が競技経験のないまま顧問を務めています。また、教員の業務が多忙で負担が大きい状況です。17時の完全下校後も授業準備や家庭訪問、土日の活動などを行っています。現在の仕組みでは持続が難しい状況でした。
3つ目は、生徒・保護者のニーズの多様化です。「仲間と楽しく活動したい」「既存の部活動種目にない活動をしたい」「複数の種目を経験したい」といった、生徒・保護者の意識の変化に対応できていないことが挙げられます。
すでに応募団体が1,000を超えていると伺いました。
おかげさまで多くの団体にご参画いただいています。
「KOBE◆KATSU(コベカツ)」の成功の鍵を握るのが、生徒たちの受け皿となる地域団体の確保にあると考え、これまで3回の募集を行い、緻密なエリア調整を続けてきました。
特に3回目の募集では、既に部活動に入部している中学1年生へのアンケート結果を基に、必要となる拠点を詳細に分析し、「このエリアで、この種目の活動拠点が足りない」という空白地帯を特定。事務局が自ら「この体育館は設備が整っており、活動に最適です」と団体へ個別に足を運んで提案するなどのアプローチを重ねました。
こうした地道な積み上げを通じて、現在の部活動で部員数が多い種目・活動は、できる限り在籍校又は近隣校で活動できるよう、コベカツクラブの確保に取り組んでいます。
多様な指導者へ「一斉かつ柔軟に」教育を届けるためのWeb研修
事務局の方々の熱意に敬服します。
それほど膨大な数の団体が関わる中で、指導者の方はどのように教育や質を担保されているのでしょうか。
「KOBE◆KATSU(コベカツ)」が始まる以前から、神戸市には10年以上部活動指導員の方々にご協力いただいてきた実績があります。ただ、当時は300名ほどの規模でしたので、対面での集合研修ができる規模でした。
しかし今回は、最終的に1,000団体という、これまでとは桁違いの規模になります。さらに指導員の方々のバックグラウンドも多様です。お仕事を終えた後に駆けつけてくださる方、アクティブシニアの方など、非常に多岐にわたります。こうした数千人規模の、かつ生活スタイルの異なる方々に、特定の日時・場所に集まって研修を受けていただくことは、もはや現実的ではありません。
そこで、指導を開始する前に、すべてのスタッフが「いつでも・どこでも・等しく」必要な知識を学べる環境を整えるべく、eラーニング形式による研修の導入を決めました。
指導員向けの研修では、具体的にどのような内容を実施されているのでしょうか?
「KOBE◆KATSU(コベカツ)」に携わるすべての指導員・スタッフの方々に、活動開始前の受講を必須としている研修コンテンツは、主に以下の4つの項目で構成されています。
1.安全管理
活動中や移動時の事故防止、緊急時の対応など、生徒の安全を第一に守るための基礎知識。
2.熱中症予防
気候に応じた適切な休息や水分補給、症状が出た際の判断基準など、屋外・屋内を問わず不可欠な安全対策。
3.ハラスメント防止
体罰の根絶はもちろん、言葉による指導のあり方など、現代の教育現場に求められる適切なコミュニケーションとコンプライアンス。
4.特別な支援を要する生徒への指導
発達障害を含む、個別の配慮や支援を必要とする生徒への理解と、一人ひとりの特性に寄り添った指導の留意点。
単に動画を視聴するだけでなく、受講後には「確認テスト」を実施しています。現在は18団体での運用ですが、テスト合格と代表者からの届け出を活動開始の条件とするフローを厳格に運用しています。このスモールスタートでの検証を通じて、将来的な1,000団体規模への拡大時にも揺るがない、指導の「質」と「安全」の土台を固めている最中です。
指導者向けの研修に、なぜ弊社のシステムをお選びいただいたのでしょうか?
最大の理由は、私たちの目指す「前例のない大規模な改革」に対し、プロジェクト型で深く寄り添ってくださる伴走体制があったからです。
「KOBE◆KATSU(コベカツ)」は、現在まさに実証事業を通じて正解を模索している段階です。運用を進める中で、想定外の課題や「もっとこうしたい」という細かな要望が次々と生まれます。そうした際、ロゴスウェアの担当者は常に迅速かつ柔軟に対応してくださり、共にトライアンドエラーを繰り返しながらシステムを最適化していける安心感がありました。この「顔の見えるサポート」は、行政として新しい仕組みを構築する上で非常に心強いものでした。
また、コンテンツ作成において「STORM Xe」の操作性が優れていた点も大きな魅力でした。「STORM Xe」を使えば、使い慣れたPowerPointから直感的な操作で、音声付きの高品質な動画教材へと変換できます。外注に頼り切るのではなく、自分たちの手でスピーディーに研修内容を更新・改善できる「内製化のしやすさ」が、将来的な1,000団体規模への展開を支える基盤になると確信しています。
1,000団体規模の質を担保。受講必須化で「安全・安心」の土台を構築
導入後、どのような効果や変化がありましたか?
現在、全スタッフに「安全管理」「熱中症予防」「ハラスメント防止」「特別な支援を要する生徒への指導」の4項目の受講と確認テストを必須化しています。合格を確認してから活動を開始するフローを構築したことで、指導経験の有無に関わらず、最低限守るべきルールの徹底が可能になりました。
教材作成では、音声合成によるナレーション生成を活用しています。音声の「速度調整機能」「抑揚調整機能」も便利ですね。受講者が自分に合ったペースで視聴でき、また音声合成で作成した音声にも抑揚があるため、集中力を切らさず効率的に学習が進められています。トラブルへの対応も迅速で、トライアンドエラーを許容しながら一緒にシステムを作り上げていけるパートナーシップに感謝しています。
データの一元化と運用負荷のさらなる軽減
今後の展望や、システムに期待することをお聞かせください。
今後は、国が推進する認定制度への対応も含め、団体情報の一元管理をさらに強化したいと考えています。団体の規約、紹介画像、活動計画、参加人数などのデータを一つのデータベースで管理し、そこから公式HPやマップへ自動連携される仕組みが理想です。 また、団体数の増加に伴い、システム操作に関する問い合わせ対応などの「事務局負担」をいかに減らすかが鍵となります。コールセンター機能の充実や、よりユーザーフレンドリーなインターフェースの改善を通じて、指導者が子供たちと向き合う時間を最大化できる環境を整えていきたいです。