教育ビジネスだからこそ!カスタムメイドコンテンツが必要な理由
コロナ禍をきっかけに、場所や時間などの制約を最小限にできるeラーニングの利用は拡大し続けており、2024年度の国内eラーニング市場規模はプラス成長での推移が見込まれています。(※1出典:㈱矢野経済研究所「eラーニング市場に関する調査(2025年)」)しかし、「自社独自の専門的な研修教材や運営ノウハウを、どのようにeラーニング化するのか、事業として収益があるのか」という疑問や不安が、eラーニングへ移行する障壁となっているケースもあるのではないでしょうか。
この障壁を乗り越える最初のステップとして、自社の独自性を「カスタムメイドコンテンツ(内製教材)」に落とし込み、収益性を高めるために、eラーニングをどのように構築・運用するのか具体的に考えていきたいと思います。
本記事では、このカスタムメイドコンテンツに焦点をあて、市販教材との違い、eラーニングの導入におけるメリットとデメリットを挙げ、カスタムメイドコンテンツがeラーニング化・教育ビジネスにおいて、どのような価値をもたらすのかを深堀りします。
<この記事はこんな方にオススメ!>
・企業の教育研修担当者の方
・対面集合研修を実施している研修事業者の方
・自社の専門教育や研修のノウハウを活用したを新規事業を検討中の方
目次
カスタムメイドコンテンツとは?
内製で教材をつくる~カスタムメイドコンテンツ(内製教材)~
カスタムメイドコンテンツという言葉はあまり一般的ではないですが、ロゴスウェアでは内製化教材のことを指し、言葉として分かりやすく言語化しました。カスタムメイドコンテンツは、特定の教育目標、受講者層、そして自社に蓄積された専門知識やノウハウなどに合わせて、ゼロから設計・開発されたデジタル教材を指します。
※本記事では、内製とはノウハウ・コンテンツの著作権と管理能力を自社に持つことを指し、コンテンツ制作に関する実務の全てを自社で行うことではありません。
特徴:
1.独自の研修ノウハウを教材に反映
自社が競争優位性を持つ独自の専門知識や指導技術、成功事例を細部までデジタルコンテンツに落とし込むことが可能です。一般的に、PowerPointなどのスライドやMP4動画を作成します。
2.学習成果につながる最適な設計
研修対象者・受講者(例:新入社員、特定部署の専門職、顧客)の既存知識レベルや、学習目的(例:資格取得、スキルアップなど)、企業独自のルール・文化に合わせて、教材の内容や表現・デザインを詳細までこだわって作り込むことが可能です。
3.知的財産としての資産価値
カスタムメイドコンテンツは、自社独自のノウハウが詰まった「知的財産」となり、その著作権と所有権を自社で保有します。そのため、よくあるレディメイドコンテンツ(汎用教材)のような利用人数や利用期間による制限がなく、継続的な利用に伴うランニングコストを抑えることが可能です。また、 外部環境の変化や法改正、教育内容のアップデートが必要になった際も、自社判断で迅速かつ柔軟にコンテンツの改訂を行うことができます。
4.柔軟に内製工程を外注
カスタムメイドコンテンツを内製する方法は、作成ツールなどを利用しすべての工程を自社内で実施する方法だけではありません。教材の一部または全部を外注とし、核となるコンテンツの著作権と管理能力を自社で保有するという方法も可能です。
レディメイドコンテンツとは?
既製の教材を利用する~レディメイドコンテンツ(汎用教材)~
ロゴスウェアではカスタムメイドコンテンツ(内製教材)に対して、一般的に販売されている既製のデジタル教材のことをレディメイドコンテンツと言語化しました。特定の企業や専門分野に特化せず、幅広い学習ニーズに対応できるように作られているため、汎用的な学習コンテンツが多いのが特徴です。パッケージ教材と呼ばれることもあります。
特徴:
1. 汎用的なテーマのコンテンツが豊富
ビジネスマナー、基礎的なコンプライアンス、一般的な情報セキュリティ教育など、多くの組織で共通して必要とされる基礎知識を扱います。多くの企業や組織に共通して求められる汎用的なテーマのコンテンツが豊富に用意されています。
2. 初期費用を抑え、すぐに研修を開始
一般的にレディメイドコンテンツ利用時は月額または年額のライセンス利用料(人数や利用期間に基づく)を支払う形式が多いため、初期の費用負担を抑えられます。コンテンツが完成している状態なので、コンテンツ制作に費やする人的リソース、初期費用(教材作成ツール利用料等)も不要になります。さらに、コンテンツを自社のeラーニングに組み込む、またはコンテンツ提供会社のeラーニングを利用することで、最小限の作業工数と最短で研修を開始できそうです。
3. カスタムメイドコンテンツとの対比
レディメイドコンテンツは、自社の教育方針や組織文化に合わせて内容を変更・修正することは、原則としてできません。例えば、「この研修でどのようなスキルが、どのレベルまで定着したか」という高度な人材育成のために、eラーニングを実施したい場合、レディメイドコンテンツでは難しいです。なぜなら、レディメイドコンテンツを、eラーニングシステム(LMS)連携したとしても、コンテンツの編集ができないため、主に受講の完了、未完了やコンテンツ内の点数といった汎用的なデータのみをeラーニングで管理することになるからです。
一方、カスタムメイドコンテンツは、自社の「独自の評価基準」や「スキルマップ」に合わせて、eラーニング設計およびコンテンツ編集・設定を行うことができます。例えば、コンテンツ内のテストに一定の評価基準を設けたり、コンテンツ受講後に社内ライセンス付与の設定を行うことが可能な場合も多いです。よってより高度な人材育成のためにeラーニングを実施したい場合、カスタムメイドコンテンツを採用するほうが良いでしょう。もちろんロゴスウェアが提供するeラーニングシステムLogoswareXeもライセンスを付与する機能があります。
また、別の視点から、レディメイドコンテンツは誰でも利用できることから、研修教材・学習コンテンツを自社の教育ビジネス、研修事業の核、競争優位性や差別化要因とすることは困難です。
コンテンツ比較
研修事業において、長期的な事業成長を目指す際、なぜレディメイドコンテンツではなく、カスタムメイドコンテンツが不可欠になるのでしょうか。その理由を、両者の特長を様々な角度から比較してみましょう。
比較詳細:レディメイドコンテンツ VS カスタムメイドコンテンツ
| 比較項目 | レディメイドコンテンツ
(汎用教材) |
カスタムメイドコンテンツ (内製教材) |
||
| 独自性・専門性 | △ | 普遍的で一般的な知識に限定される。他社との差別化が困難。 | ◎ | 自社の専門知識やノウハウを反映し、強い競争優位性を生む。 |
| 学習効果の適合性 | 〇 | 特定の業務や現場に直結しにくいため、効果が限定的になる場合がある。 | ◎ | 現場の状況やノウハウに完全に適合し、高い学習効果が期待できる。 |
| 導入の容易さ | ◎ | 迅速に導入可能。初期コストは低い。 | △ | 制作に初期投資と時間が必要。ノウハウ習得の学習曲線が存在する。 |
| 改訂・鮮度 | △ | 改訂頻度は提供元に依存し、自社の最新情報への対応が遅れる。 | ◎ | 内製プロセスがノウハウとして蓄積されるため、迅速かつ柔軟に改訂が可能。 |
| 事業化への寄与 | △ | 収益の頭打ちや価格競争に繋がりやすい。 | ◎ | 高付加価値なコンテンツとして収益性を確保し、事業を拡張できる。 |
カスタムメイドコンテンツのメリット・デメリット
カスタムメイドのメリット
カスタムメイドコンテンツのメリットは、教材の品質向上はもちろん、教育ビジネスの収益を底上げする仕組みの構築に貢献します。
1. ノウハウを知的財産化、付加価値で事業成長へ
自社の専門的な知識や運営ノウハウをカスタムメイドコンテンツにすると、どんな良いことがあるでしょう?まずは、対面研修の課題(移動コスト、時間調整など)を解消しつつ、より多くの人に自社ノウハウを届ける機会が増えます。また、コンテンツが自社で保有する「知的財産」となるため、一度コンテンツを制作すると、そのコンテンツで継続的な収益を得ることが可能です。さらに、コンテンツを他社と差別化していくことで、市場における競争力が増し、高付加価値な商品・サービスとして提供できます。これにより、カスタムメイドコンテンツは高い収益性を維持し、事業の規模を大きく拡大させる、独自の高収益モデルを確立できる可能性があります。
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2. 学習効果を最大化し、即戦力アップ!
カスタムメイドコンテンツは、特定の受講者の学習ニーズに最適化されているため、その内容が現場の実務に直結しやすく、学習効果が飛躍的に向上します。例えば、企業独自の専門用語や、実際に行われた成功事例、失敗事例を豊富に盛り込むことで、受講者が習得した知識を実際の業務へ活かすイメージがつきやすくなります。現場で応用できるノウハウを盛り込み、学習効果を最大限に引き出すコンテンツの作成や、コンテンツ同士を組み合わせた研修を構築することで、最短で「即戦力化」が期待できます。
3. 教材内製過程のノウハウ蓄積が事業基盤
教材を内製する過程で、コンテンツの企画、制作、運用に関する一連のノウハウが社内に蓄積されます。このノウハウの蓄積は、事業継続、拡大に導く基盤となります。具体的には、技術革新、法改正などの外部環境変化に対して、他社に依存することなく、自社の判断で迅速にコンテンツの改訂や新規作成を行う能力(内製化能力)を持って、常に鮮度の高い情報を提供し続けることが可能です。
4. 外部サービスとの親和性も高い!リソース問題も解決
カスタムメイドコンテンツを採用する場合にも、自社制作と外注を分けて運用する方法があります。例えば、ロゴスウェアが提供しているコンテンツ制作サービスやeラーニング運用を支援するBpaas(Business Process as a Service)型のサービスを活用することで、自社ではコンテンツの専門性・独自性を追求・維持することに集中することができます。また、事業成長に合わせて、繁忙期や突発的な対応で自社内のリソースが足りない場合にも、一部の教材制作工程やeラーニング運用の外注を柔軟にサポートをさせていただきます!
自社内ですべての教材内製化のプロセスを行う必要がないという安心感が得られ、カスタムメイドコンテンツを採用したeラーニング化のハードルも下がるのではないでしょうか。
カスタムメイドのデメリット
ここまでカスタムメイドコンテンツで事業拡大の可能性を検証してきましたが、冷静に問題点、デメリットはないのか、一度立ち返って、デメリットについて検証したいと思います。
1. 初期投資(コストと時間)の必要性
カスタムメイドコンテンツは、企画・設計・制作(撮影、編集、LMSへの組み込み)を実際に実行していくため、レディメイドコンテンツ(汎用教材)と比較してコスト面において初期投資と制作に携わる人的リソースの確保が必要となります。
• 対策: コンテンツ制作およびeラーニングの導入前に、具体的な事業計画、研修計画を行い、投資回収の一例を試算するとよいでしょう。長期的な収益性や事業拡張によるスケールメリットを見込むことで、初期投資を戦略的な先行投資として位置づけることができます。また、その事業計画、研修計画をもとに制作工数を見積もり、自社内リソース不足の場合に、外注サービス利用を先行投資としてご検討いただくことも可能です。
2. 教材作成ノウハウの学習期間と技術的ハードル
自社に専門知識が蓄積されていても、それをeラーニングの運用へ落とし込むノウハウは別物です。研修ノウハウをeラーニング化するプロジェクトを何度も経験する企業は少なく、eラーニングの運用へ落とし込むノウハウを習得するには一定の学習時間を要します。教材制作を外注することも可能ですが、まずは自社で研修内容に関して、企画・設計を行い、教材に落とし込むための要件定義が必要になります。
• 対策: 教材作成ツール、eラーニングプラットフォーム(LMS)を提供するロゴスウェアだからこそできる一気通貫した伴走支援、ソリューションサービス(Bpaasをはじめ、eラーニング運用支援、制作サービス)等を利用することも検討し、外部パートナーをうまく利用し、技術的なハードルや制作ノウハウの不足を補いながら、段階的に自社内にノウハウを蓄積していくことが重要です。
教材内製化実現のための解決策
参考記事: 対面研修のノウハウを「選ばれるデジタル教材」へ昇華させる設計図
レディメイドコンテンツでは越えられない「決定的な3つの壁」
迅速性や初期コストの低さといった利点を持つレディメイドコンテンツ(汎用教材)ですが、自社の教育ビジネス・研修事業の根幹において、「越えられない壁」が存在します。それらがどのような壁なのか挙げてみました。
1.深い学びの壁
受講者は、レディメイドコンテンツを「一般的な知識」として受け止めがちです。なぜなら、レディメイドコンテンツは特定の受講者層や会社独自の業務文脈、専門用語を反映できない、汎用的な内容であるため、知覚的に自分事(自分のために発信されたコンテンツ・研修である自覚がある)として捉えることが難しいということです。結果として、知識が表面的な理解に留まり、実務における具体的な行動変容や高いスキル定着という、高付加価値な教育ビジネス・研修事業が目指す最終目標を達成することが困難になります。
2.競争優位性と差別化の壁
教育ビジネス、研修事業者の競合他社は、常により良いコンテンツを求めリサーチをしています。仮に素晴らしいレディメイドコンテンツを見つけ出し、自社の研修内容に取り入れ、事業化するとしても、コンテンツ自体が事業の独自の強みとはなり得ません。そのコンテンツは競合他社も利用できるということです。さらに、研修プログラムが教育ビジネス市場での差別化要因の一つであるとすれば、その要因を失い、収益の頭打ちおよび価格競争に巻き込まれることになります。
3.知的財産(IP)資産化の壁
レディメイドコンテンツは一般的にライセンス利用に留まり、自社の教育ノウハウを知的財産として蓄積ができていない状態です。つまり事業の核となるコンテンツが自社の知的財産ではなく「借り物」の状態では、コンテンツ利用料による運用コストの増大、コンテンツ改定や修正に制約があるなど、中長期的な事業安定性や事業拡張性に大きな制約が生じます。
【まとめ】持続的な優位性を生む、カスタムメイドコンテンツが必要

・カスタムメイドコンテンツを採用したeラーニング化は、独自知識を「収益を生む知的資産」として事業の核にすることであり、結果として持続的な優位性をもたらします。
・レディメイドコンテンツ(汎用教材)では、自社のノウハウといった最も価値の高い部分を一部しか反映できず、結果として独自性・専門性が高い教育分野では競争力を保持できません。
・コンテンツ制作に関してリソースやノウハウ不足は大きな課題ですが、重要なのは、カスタムメイドコンテンツを完全に自社内で制作する必要はないという点です。
・外部サービスによる高品質なカスタムメイドコンテンツの制作とeラーニング運用支援を組み合わせることで、自社内の工数負担を軽減することが可能です。より付加価値が高い「独自性」「専門性」を戦略的に自社サービスへ展開するために、自社にしかできないコア業務にリソースを集中することも可能となります。
カスタムメイドコンテンツを採用し、eラーニングを本格的に開始されたい方、 eラーニングプラットフォーム(LMS)の選定および教材作成ツール等をご検討をされたい方、以下からお問い合わせください。
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次回はカスタムメイドコンテンツ採用ハードルを下げる、具体的な手段として「共創モデル」について深堀したいと思います。
引用・参考文献
※1 出典:(株)矢野経済研究所「eラーニング市場に関する調査(2025年)」(2025年4月22日発表)注:インターネット等のネットワークを利用した学習形態を対象とし、市場規模は提供事業者売上高ベースで算出した。
参考:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3795

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